ニチハのスレート屋根パミールは、なぜ塗装できないのですか?
外壁と屋根の塗装をご希望されているお客様宅にお伺いしたときのご質問です。
既に他社から見積を取られていて、その業者さんに塗装出来ない理由を尋ねても、
「塗装しても良いですけど、無駄になるだけですよ」と言われるだけで、
明解な理由を教えてくれないとのことで、弊社にも見積を依頼されたと仰られました。
どうして、塗装ではなく屋根を葺き替えないと駄目なのでしょう?
A:1996年以降一定期間のニチハ社の無石綿製品は、
①層状剥離が起き易いこと
②屋根材固定用の釘(ラスパート釘)の
メッキ処理が薄いものがあり、
釘の腐食進行が早まることで
屋根材の落下、ズレが発生し易いこと
が、パミールの塗装工事をお薦めしない理由です。
ニチハとはどんな会社なのでしょうか?
ニチハは窯業サイディング分野で日本を代表するメーカーの一つです。
窯業サイディングが戸建て住宅外壁全体に占める割合は約80%、
そのうちニチハの占める割合は約50%、ケイミューが40%程度です。
ニチハの無石綿製品
ニチハは1981年以降、無石綿の窯業サイディングを製造してきました。
1996年に無石綿スレート屋根パミールの製造を開始しています。
窯業サイディングにも、パミールと同じ層状剥離は起きていました
私は、ニチハの窯業サイディング「モエンサイディング」を、
1987年~88年頃から30年以上使ってきた経験があります。
パミールの製造を始めた1996年頃~2000年初期にかけて製造したモエンサイディングの劣化は、
それまでの同製品の劣化とは少し違う違和感があったので、
そのことを2008年~2010年頃にニチハに指摘したことがあります。
ニチハ名古屋工場の製造・品質担当者が訪ねてきまして、
層状剥離の状況詳細やその他違和感などを意見交換したり、
症状改善の参考意見を述べたりと、品質改善に少し協力したことを覚えています。
その後、使用材料の配合を変えたこと、
製造直後の蒸気養生方法を変えたことなどの改善報告を貰いました。
そして次第に層状剥離を起こす製品は少なくなっていったと記憶しています。
私の場合、屋根は金属製を使用していましたので、
パミールの層状剥離に関しては一般的な知見しか持ち合わせていません。
が、層状剥離を引き起こす根本原因は、
窯業サイディング材もスレート屋根材も同じでしょうから、
蒸気養生方法にも一因があったと思います。
塗装をしても層状剥離は直りません
層状剥離した外壁材(モエンサイディング)の再塗装を数棟で試しましたが、
早い建物では3~5年程度で層状剥離が再度生じてきました。
特に、直射日光の照射が激しい地域、日中気温差の激しい寒冷地、吹雪の多い降積雪地は、
層状剥離を再出現させるまで長い時間を要しませんでした。
パミールは固定釘の不良もある為、葺き替えが最良です
スレート屋根パミールは、屋根材を固定するラスパート釘の早期不良化の問題もあり、
屋根を葺き替える方法が最良と言えます。
本来、屋根の葺き替えをお薦めしますが、
工事費を低く押さえるカバー工法での施工もパミール問題の解決には適しています。
パミールは無石綿スレート屋根材なので、
将来にわたり石綿の撤去廃棄費用を心配する必要がありません。
但し、屋根下地材に雨漏りが達していないか、屋根下地木材に腐朽は無いかなど、
表面に現れていない不具合を確実に確認なさる業者さんをお選びください。
エイチペイントのパミール屋根改修工事例
今回はリクシル社のTルーフを使ったカバー工法で施工しました。
とても上品な仕上がりにお客様にも大変ご満足いただきました。