外壁の伸縮目地って何ですか?
伸縮目地は、
温度変化(熱)によって生じる
建材(物質)の膨張収縮(伸び縮み)を吸収したり、
交通振動、地震による挙動ずれを吸収したりする、
建材のひび割れや破損を起こさせない為に設置する緩衝帯です。
建築物は、建材の内部応力や建材同士の干渉を逃がす場所(部位)として、
建材の種類や熱変形量にあわせて一定間隔ごとに伸縮目地を設けます。
伸縮目地を設けない場合は、
建材同士がぶつかり合って次のような現象が現われます。
・強度の弱い方の建材がひび割れる
・ひび割れがさらに進むと破損する
・接着力の弱い箇所の建材が浮いたり剥がれたりする
ワーキングジョイントとノンワーキングジョイント
伸縮目地は、
応力を逃がす(動きがある)ワーキングジョイントと、
応力が余り生まれない(動きの少ない)ノンワーキングジョイントがあります。
ワーキングジョイント
ワーキングジョイントは鉄骨造、木造建物の場合に多く生まれます。
鉄骨や木造は躯体と建材の熱膨張率の違いが大きく、
交通振動、強風、地震による建物の変動が大きい構造だからです。
・外壁材と建具枠の間(建具廻り)の目地
・外壁材と外壁材の間の目地
・全面ガラス張りの(ガラスファサード)のガラス間の目地
・タイル・石張りの目地
・金属パネル間の目地
などはワーキングジョイントです。
ノンワーキングジョイント
ノンワーキングジョイントは、伸縮が無いあるいは伸縮が少ない部位の目地です。
RC(鉄筋コンクリート)の建物は、
熱膨張率が似ている建材が多くさらに堅固な建物のため、
振動や強風による変位がほとんどありません。
多くの目地はノンワーキングジョイントになります。
・コンクリート躯体の誘発目地
・コンクリート躯体とサッシュ枠の目地
・タイルの伸縮目地(タイルの伸縮だけを吸収)
伸縮目地のシーリング
同じ伸縮目地でも、
ワーキングジョイントとノンワーキングジョイントでは
シーリング工事の施工方法が異なります。
ノンワーキングジョイント
ノンワーキングジョイントは動きが少ない目地ですので、
シーリング目地に作用する力は小さいです。
シーリングが切れたり剥がれたりの心配が少ないので、
目地両脇の建材と、目地の奥(目地底)の建材の3ヵ所、
3面にシーリングを接着しても問題のない伸縮目地です。
ワーキングジョイント
一方、ワーキングジョイントは動きが大きい伸縮目地です。
目地の奥の建材(目地底)までシーリング材を接着すると、
3面でシーリングの動きを拘束することになり、
シーリング材が切れたり、両脇の建材から剥がる原因になります。
よってワーキングジョイントは
両脇の建材にのみ接着させる2面接着が基本です。
伸縮目地のシーリング工事施工手順
伸縮目地のシーリング工事は
決して難しいというものではありません。
が、ワーキングジョイントの場合は
・バックアップ材の挿入
・ボンドブレーカーの有無
・目地幅
・目地深さ
が不適当であったり、不適切な施工方法であったりすると、
シーリングは切れ易く耐久性は格段に下がります。
価格の高い高耐久のシーリング材を使っても、
知識・経験不足による施工不良によって切れ易い伸縮目地になります。
「適切なシーリング深さ」、「シーリングの施工手順」に関しては、
以下の過去ブログをご参照ください。