塗装工事の仕上りはどんなことに注意して検査していますか?
塗装工事以外の工事も行っている建物のお施主様から、
「一級建築士さんは、例えば塗装工事の検査の場合、どういったところを見て、
良い仕上がりだなとか、今一つだなという判断をしてらっしゃるのですか?」
と尋ねられました。
塗装面全体の塗り残し、ムラ、気泡などのチェックは当然です
塗装工事を行った全面、入隅・出隅や建物付属の突起物の近辺、部材裏側などに、
塗り残しや塗りムラ、ダレ、気泡の有無、ゴミなど異物の付着が無いかなど、
一般的なチェックポイントを見て回るのは当然のことです。
入隅や出隅、建物の端や部材の際の塗り状態を見ます
入隅や出隅、建物の端や部材の際(きわ)には、
職人の癖やこだわりが塗装仕上りに出てくるものです。
これらの部位を、丁寧に拘りを持ち、職人なりの規則性を守って塗装してある場合、
塗装全体の仕上がりは良好であることが、経験則上の一般論です。
例えば、二色で塗り分ける直角の通りがピンと一直線であるとか、
塗装の端・際(きわ)が奇麗に止められているとか、
ちょっとした気遣いと手間を掛けることで見栄えが大きく違ってくる箇所を見ます。
職人の拘りとはどういうことですか?
例えば軒天井と壁が直角に交わる入隅箇所は、
天井と壁の色は違う2色で色分け塗装することが多く、
その2色をどこで色分けするか、
どこで見切りをつけるかも見栄えを左右するポイントです。
①入隅部材がある場合、入隅部材は壁色で塗る
②入隅部材がある場合、入隅部材は天井色で塗る
➂入隅部材が無い場合、天井側に見切りをつけて塗る
④入隅部材が無い場合、壁側に見切りをつけて塗る
の大きく四通りの塗り方があります。
これまでの経験上、奇麗で上手いなと感心するのは、
壁色を見切り色として塗る職人の方です。
①入隅の際は刷毛で塗る場合でも塗り難い
②入隅は塗膜不良が起きやすい箇所
➂壁色で見切る塗装は一手間多くなることが多い
職人の塗装に対する意識の高さや拘り、
ひと手間を惜しまない姿勢などは、こんなところを見て確認しています。
職人の規則性とはどういうことですか?
上で紹介した塗装の見切りを、塗る箇所ごとに変える職人がいます。
塗る箇所に合わせた、より塗りやすい見切り場所を選択しているようです。
しかし上手い職人は、場所ごとに変えることは無く、
いつも自分で決めた規則に従って塗装しています。
上塗りローラーの塗り方向が縦か横かも見ています
サイディング模様が横柄だとか横張りの場合を除き、
特にモルタル壁の塗装のときはローラー目を気に掛けて見ます。
外壁に降った雨水は上から下に流れ落ちていきますので、
ローラー目が縦塗りの方は雨水の流れを阻害することが少なくなり、
汚れが付きにくく、カビの発生も抑える作用が多少なりともあると考えます。
縦目、横目のどちらが正解と言うことは無いでしょうが、
外壁の模様・張り方に支障がないようであれば、
最終のローラー目は縦目が良いと考える理由です。
下塗り塗料の種類とその使用量は重要です
塗装の仕上りは、下塗りの優劣が大きく関わってきます。
エイチペイントの塗装職人は、
下塗りの重要さを十二分に理解しています。
使用した下塗り剤が適切なものか、
使用した量は適当かなどは情報共有しチェックを行っています。
塗料の使用量は塗料発注時、現場搬入時の検収、
塗装後の塗料空缶により適時確認しています。