1缶の塗料でどれくらいの面積を塗装することができますか?
ガレージに塗料缶を置かせて頂きながら塗装工事を行っていたお客様からのご質問でした。
A:塗料によって異なりますが、
一般的に1缶で100~150㎡くらい塗ることができます
上の数値は上塗り塗料を1回塗りするときの面積です。
下塗り剤のシーラーは上塗り塗料とほぼ同じ面積を塗ることができます。
しかしALC、モルタル、劣化の激しい窯業サイディングなどに使うサーフェサーやフィラーは、
上塗り塗料の1/2~1/5程度の20㎡~50㎡程度しか塗れないときもあります。
戸建一軒で使う塗料の量を計算してみましょう
塗料カタログには、
塗装1回当たりに使用する量(kg/㎡・回)と、1缶の内容量kgが書いてあります。
この数値を使って使用する塗料の量を計算することができます。
2階建て36坪の平均的な戸建住宅の場合
屋根面積は80~100㎡、外壁面積は140~180㎡程度が一般的です。
そして使用する上塗り塗料、下塗りシーラーの1回あたり使用量は0.12~0.15kg/㎡程度が中心値です。
サーフェサーやフィラーの下塗り剤は、約2倍から5倍程度を使用する製品もあります。
使用量は0.2kg/㎡から0.5kg/㎡程度まで、製品により幅があることを知っていると何かと便利です。
上の条件で計算すると、
スレート屋根 :下塗りシーラー1~2缶、中塗り1缶、上塗り1缶 計4~5缶
窯業サイディング:下塗りシーラー1~2缶、中塗り2缶、上塗り2缶 計5~6缶
破風、鉄部、樋等:下塗り1缶、中塗り+上塗りで2缶 計3缶
希釈用シンナー :1缶~2缶
平均的な戸建住宅一軒を塗装するのに必要な塗料は、
屋根と外壁だけで9~11缶、
付帯部で使う塗料や希釈用シンナーを含めると13~15缶前後になります。
下塗りにサーフェサーやフィラーを使う場合は2~4缶プラスされ、合計15~18缶になります。
また、高品質の塗料や劣化が激しい建物の場合はさらに使用量が増えることがあります。
塗装現場に置いてある塗料缶数(空缶)があまりにも少ない場合はご注意ください
希釈を多くしメーカーが定めた量を使っていなかったり、
塗り厚や塗り回数が守られていなかったりすることが考えられます。
塗料缶数を数えたり、
工事完了まで空缶を残しておくよう塗装業者にお願いするのも良いかも知れません。
塗料は規定量を使わないと塗膜の劣化が早まります
塗料メーカーは塗料毎に塗布所要量を定め、
カタログ、商品説明書などに記載しています。
塗料は薄すぎると不健全な塗膜に仕上がり、
塗料特性を十分に発揮しないばかりか、耐久性が著しく低下します。
塗料は必ず希釈(薄める)するものですか?
答は否です。
シーラーの場合は希釈せずにそのまま使う製品が多くあります。
同じ下塗り剤でもサーフェサーやフィラーは、希釈する製品が多くなります。
希釈量はカタログなどで確認することができます
希釈できる量(希釈率)はそれぞれの製品カタログなどに記載されています。
一般的な塗料は5%~10%程度がメーカーが認めた希釈率ですので、
その規定量のなかで希釈する分には塗膜への悪影響はありません。
また希釈せずに粘度の高い状態の塗料で塗装作業するのも、
健全な塗膜形成には不都合となることがあります。
適度な流度を持った塗料を適切な方法で塗装することが大切になります。
塗料を希釈しすぎると...
希釈規定量を超えて希釈すると、
・塗膜の白化(かぶり、ブラッシング)
・塗膜のつや不良
・塗料の流れ、ダレ
の発生が多くなり、仕上がった塗膜が美しくないだけでなく、
不健全な塗膜となり、塗料が本来備えている機能を発揮しなくなります。
さらに塗膜形成の過程において微細な気泡が混入することもあり、
塗膜の耐久性が大幅に低くなることも懸念されます。
塗料のドロドロ程度はどのくらいが良いのですか?
塗料の多くは、天ぷら液やホットケーキ液くらいの粘り気を持った液体が適当です。
水のように流れるような塗料を使っているときは、
希釈しすぎた塗料の可能性が高いので、
混合している様子を見せて貰ったり、声を掛けてみるのも良いと思います。
エイチペイントの施工マニュアル
エイチペイントの施工マニュアルには、秤を使った計量と電動撹拌機の使用を明記しています。
2液型塗料の場合は、主剤と硬化剤を電動撹拌機で混合した後に希釈を行い、
塗料が偏りなく混合されるよう作業手順を定めています。