雨が止み晴れてきたのに、塗装工事はお休みですか?
外壁と屋根の塗装工事を行っているお客様に、
「今日の塗装工事をお休みしますと」とお伝えしたとき、
不思議そうにされていたので、その理由をご説明いたしました。
塗装後すぐの降雨は、塗膜不良を起こしやすいのです
夜半、激しく降っていた雨も今は上がり、午前中は晴れ間もあるようです。
が、午後の早い時間から、再び雨が降り始め、
夕方近くには雷雨が伴うこともあるとの予報です。
午前中、仮に塗装できたとしても塗料の乾燥が不十分の状態で雨に打たれると、
塗膜の耐久性が低下する原因になります。
良質な塗膜を保証することが非常に難しいので、止む無く塗装を中止しました。
雨に打たれると塗装はなぜダメなの?
塗料が硬化する前に雨に打たれると、次のような不良の原因となります。
・塗料が雨で流されてしまう
・塗膜が破れたり、塗膜に気泡が混入したりする
・溶媒の揮発不良、塗料の硬化不良によって健全な塗膜形成が行われない
・本来の色が出ない発色不良が発生したり、艶の無い塗膜に仕上がったりする
塗料の硬化乾燥の目安は4~5時間
多くの塗料カタログには塗り重ね乾燥時間が記載されています。
塗り重ね乾燥時間を過ぎた塗膜は、十分に乾燥硬化した塗膜なので、
雨粒が直接当たったとしても、塗膜に悪影響を及ぼすことはありません。
塗り重ね乾燥時間は塗料によって違いますが、
おおおよその目安は、4~5時間程度です。
JISが規定する硬化乾燥とは
乾燥時間についてはJISの中でその試験方法、評価方法などの定めがあります。
気温23℃±2℃、湿度50%±5%を保持できる恒温恒湿室で試験を行うこと、
次のいずれかの方法によって乾燥の程度を調べまたは測定すると定めています。
・指触乾燥 :塗面の中央に指先で軽く触れて,指先が汚れない状態
・半硬化乾燥 :塗面の中央を指先で静かに軽くこすって塗面にすり跡が付かない状態
・硬化乾燥 :塗面の中央を親指と人差指とで強く挟んで,塗面に指紋によるへこみが付かず,
塗膜の動きが感じられず,また,塗面の中央を指先で急速に繰り返しこすって,
塗面にすり跡が付かない状態
指触乾燥状態で雨が降ると・・・
指触乾燥は約1~2時間程度が一般的です。
指触乾燥程度ですと、強く激しい雨粒に打たれると、
塗膜が破れたり、気泡が混入したり、場合によっては塗料が流されなど、
塗膜不良の発生が高くなります。
雨が降る前は気温が下がり湿度が高くなって、乾燥が遅くなります
先にも触れたように、硬化乾燥時間は気温23℃湿度50%のときの計測値です。
4~5月の日中気温は15℃~20℃、湿度も50%を超える日も多くあります。
塗料の乾燥は洗濯物の乾燥と同じで、
気温が低いあるいは湿度が高いと乾燥は遅くなります。
雨の予報にも拘らず塗装作業する業者さんはご注意を
足場にブルーシートなどを掛け、
塗装面に雨が掛からないように覆いながら、
塗装作業を続ける業者さんを見かけることがあります。
突然の雨の場合は仕方のないことですが、
小雨時や降ったり止んだりの天気の中で、
塗装工事を続ける業者さんは注意が必要です。
国土交通省「公共建築工事標準仕様書」では・・・
国土交通省発刊の「公共建築工事標準仕様書」の18章には、
18.1.6 施工管理
(1) 気温が5℃以下、湿度が 85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。
ただし、採暖、換気等を適切に行う場合は、この限りでない。
(2) 外部の塗装は、降雨のおそれのある場合又は強風時は、原則として、行わない。
とあります。