築30年のアパートのサイディング外壁は塗装できますか?
遠方にお住まいで、さいたま市内に鉄骨造アパートをお持ちのオーナー様からのお問い合わせでした。
外壁塗装が可能かあるいは外壁張替えが必要なのか悩まれていて、
専門家の意見を聞きたいとのことでメールをいただきました。
確かな意見を述べるには劣化状態を確認・調査する必要があること、
30年前の窯業サイディング張りは直貼りが主流だったので、
その外壁を再塗装する際には、とても注意が必要であることをお伝えしました。
直貼り窯業サイディングの場合、再塗装は塗膜が剥がれ易くなります
今から30年前、1990年代前半のサイディング張りは「直貼り」が主流でした。
外壁支持材である胴縁に、隙間(通気層)を設けず、
サイディング板を釘やビスで直接留める工法です。
サイディング板直下には透湿防水紙が張ってあるのが通常です。
万一、雨水がサイディング板の下に入っても、
この透湿防水紙が建物の内部に浸水するのを防いでくれます。
が、サイディング板と防水紙の間に侵入した雨水はサイディングに染み込みます。
サイディング板裏面から染み込んだ雨水は、雨が止み日光が当たると、
水蒸気に変わりサイディング板表面から蒸発しようとします。
このようにして発生した水蒸気の蒸気圧によって、
サイディング表面の塗膜が浮き上がり剥がれてしまう現象は、
直貼りの窯業サイディング外壁を再塗装したときに起きる特徴のひとつです。
さらに言えば、北陸や東北、北海度などの寒冷地では、
サイディング板内の水が凍結し(凍害)、
サイディング板そのものを壊してしまうことさえあります。
21年間勤務していた富士薬品は日本全国に営業所建物を所有していましたので、
このような窯業サイディングの劣化を数多く見てきましたし、修繕工事を行ってきました。
お問い合わせのありましたお客様のアパート建物に関して、
現地調査のご依頼はまだございませんが、
恐らく、前回の塗膜が浮いたり剥がれたりしているのではないかと想像しています。
直貼り窯業サイディングには透湿性の高い塗料を!
エイチペイントのお薦めは、ダイフレックス社の無機塗料です。
他の無機塗料やシリコン塗料よりも透湿性が高いので、
熱膨れ、水蒸気膨れの発生を軽減できる塗料になります。
1.高耐候性
期待耐用年数24~26年とフッ素樹脂をしのぐ高耐候です
2.透湿性
シリコン塗料の約2倍近い水蒸気量を透過させることができます
3.柔軟性
柔軟性に優れた塗膜なのでひび割れの発生リスクを軽減します
4.低汚染性
親水性の高い無機塗料なので雨水で汚れを落とす特性を持ちます
5.旧塗膜適性
旧塗膜に適応させることができる幅広い下地調整材を持っています
6.防カビ・防藻性
カビや藻の発生を抑制します
直貼り窯業サイディングに向かない塗料
一般的なフッ素樹脂塗料の多くは透湿性が低いので、熱膨れ、水蒸気膨れが懸念されます。
あってはならないことですが、塗装業者や職人の中には、
塗料の性質を知らぬまま、あるいは確認を怠り塗装作業を行う者もいます。
直貼りされた窯業サイディング外壁の再塗装の際は、
ご自身で塗料カタログなどに書かれている注意書きを確認なさることをお薦めします。
通気工法で張られた窯業サイディングは...
2000年前後以降から、サイディング張りは通気工法が主流になりましたので、
サイディング板と透湿防水紙の間に通気層が設けられています。
透湿性が低い塗料で再塗装しても、
通気層を通して水蒸気が外気に放出されますので問題は生じません。
ただし、窯業サイディングに適しているか否かは仕様書を必ず確認いたしましょう。
プレマテックス社の無機塗料タテイルは
タテイルは防水性に優れていますが、透湿性は低いため、
直貼り窯業サイディングには使用しないよう技術資料に注意書きされています。
通気工法で張られた窯業サイディングには、問題なく使用できます。