水性塗料と弱溶性塗料ではどっちが良い塗料ですか?
耐候性、耐久性などに顕著な優劣はありません
かつては水性塗料の対候性・耐久性は弱溶性塗料に比べ劣るとされていた時代がありました。
化学技術が進歩した現代において、両者の差異にかつてほどの開きは無くなりました
耐候性・耐久性を左右する要因は、合成樹脂の違いによるところが最も大きく、
次に防汚性、防カビ・防藻などの添加剤とのバランス配合が重要となります。
個人的には・・・
水性塗料と弱溶性塗料の優劣は、
かつてほどの差異は無くなっていることは、
40年以上建設業に携わっている者として実感しています。
しかし、耐候性・耐久性、塗装面の仕上り精度、
塗装作業の難易、塗料の性質などを
総合的に勘案した場合は、弱溶性塗料のご使用をお薦めします。
特に弱溶性塗料の使用が可能な部位であったり、
シンナー臭を気にしなくて良い環境の場合は尚更です。
塗料の光沢保持率
塗料の光沢保持率は耐候性を見るときの指標の一つですが、
その光沢保持率を見る限り、弱溶性塗料の方が有利だからです。
本稿後段で詳しくご説明しますので、ご参考になさってください。
水性塗料の特徴
塗料を水道水で薄めて使う塗料です。
長所
・臭いが少ない
・現場での保管が比較的容易
・人体への影響や火災などの危険が少ない
・弱溶性に比べて価格が安め
短所
・施工時、不適切な硬化乾燥になるケースが多く、耐久性に影響が出る
・塗装出来ない素材が多い
・艶が落ちやすい
・低温での塗装が難しい
・湿度が高いと硬化乾燥に難が出て塗膜に悪影響が生じる
弱溶性塗料の特徴
塗料用シンナーで希釈して使用する塗料です。
長所
・水性に比べ気象環境に左右されることが少なく、安定した耐久性が期待できる
・艶を維持しやすい
・汚れが付きにくい
・低温でも硬化乾燥させやすい
短所
・シンナー臭がある
・価格が水性よりも高め
・完全な艶無しは作れない
水性塗料と弱溶性塗料の選択例とその理由
水性塗料と弱溶性塗料は、基本的に上に書いたような長所短所があります。
塗装する部位、現在の家の立地環境、
塗装時の気候・気象条件などから適切な塗料を選ぶことが大切です。
例1 関西ペイントの塗料選択例
関西ペイントのウレタン塗料、
「セラMレタン」、「カンペ1液セラMレタン」、「アレスアクアレタン」
は、同じ仕様の塗料でありながら弱溶2液型、弱溶1液型、水性1液型の違いがあります。
それぞれの塗料を選択する理由は、次の例による理由の場合が多くあります。
雨が降りがちで日照時間が短い地域や時期での塗装は、
不意の降雨が予想されるので水性塗料の使用は避けます。
雨に強い弱溶性塗料「セラMレタン」を使い降雨の合間に塗る方法を選択します。
雨が降っているときは、当然ですが弱溶性塗料でも塗装はできません。
さらに、塗装面積が小さいときには、1液型の「カンペ1液セラMレタン」
を用いることで使い残しを削減し無駄を無くします。
また市街地や住宅団地内の塗装ではシンナー臭を抑えたいので、
水性塗料の「アレスアクアレタン」を選びます。
水性ではありますが、亜鉛メッキ鋼板にも塗ることが出来る塗料です。
例2 日本ペイントの塗料選択例
日本ペイントの
「水性シリコンセラUV」と「1液ファインシリコンセラUV」
の水性塗料と弱溶性塗料の選択例です。
艶無しの塗料を使いたい場合は、
艶無しが選べる「水性シリコンセラUV」を使います。
硬質塩ビ製の雨樋の塗装を、外壁と同じ塗料や色で行いたい場合は、
塩ビも塗装可能な「1液ファインシリコンセラUV」を選びます。
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対候性・耐久性、機能性を求めるなら弱溶性塗料がお薦めです
エスケー化研の「セラタイトF」は、
水性と弱溶性の両方のタイプを持つフッ素樹脂塗料です。
下のグラフの一番上の紫色線が、
弱溶性セラタイトFの光沢保持率を示すラインです。
キセノンランプ照射5000時間経過後も光沢保持率は90%を超えています。
一方、下のグラフの一番上の青色線は水性セラタイトFです。
キセノンランプ5000時間照射後の光沢維持率は90%を下回っています。
同じフッ素樹脂塗料「セラタイトF」であっても、
弱溶性タイプは水性タイプよりも光沢保持率が高いのです。
光沢が長く保持される塗膜は、対候性・耐久性、機能性が高い塗料です。
人体への影響、近隣への配慮を考えるなら水性塗料です
シンナーの刺激臭を伴う弱溶性塗料は、
塗装期間中、シンナー臭に耐えなければなりません。
洗濯物や室内に臭いが付着したり、
近隣住民への気遣いも生じます。
また妊婦さんや赤ちゃんがシンナー臭を吸い込むと、
胎児や乳児の成長に悪影響を及ぼす恐れもあります。
家の中に赤ちゃんや妊婦さんなどがいらっしゃる場合は、
水性塗料を使うようにお勧めしています。
専門家に相談することが安心に繋がります
エイチペイントは、建物や塗膜の劣化状況を正確に診断し、
お客様のご要望を取り入れたうえで、
塗装部位、周辺環境、季節要因などを考慮した最適な塗料のご提案をいたします。