塗料の種類とその特徴 価格と耐久性の関係
塗装工事の見積依頼を受け、建物調査のために訪問した際、
お客様から頂くご要望やご質問として、
「安くて長持ちする塗料で見積りをお願いします。
あなたの会社でお薦めの塗料は何ですか?」が多くあります。
価格と耐用年数のコストバランスを説明しながら、
ご予算に合った塗料をいくつか選び、ご提案しています。
「ポストに投函されるチラシに、
シリコン塗料、ラジカル塗料、無機塗料など
いろいろと書いてあるのだけど、意味や違いが良くわからなくて!」
とお話しされるお客様には、違いや特徴などを簡単にご説明しています。
外壁や屋根の塗装に使用する塗料
塗料は合成樹脂塗料と自然塗料の二つに大別されます。
建物の外壁や屋根の塗装に使用する塗料は、一般的に合成樹脂塗料を用います。
化学成分を含まないと思い込み、自然塗料を望まれる方がいらっしゃいます。
自然塗料と言ってもホルムアルデヒドやVOCを発生させるものがありますので、
自然塗料だから化学成分を全く含んでいないわけではありません。
合成樹脂塗料の3成分
合成樹脂塗料は、
①顔料(色の素)
②合成樹脂(塗料の耐用年数を決定する化学物質)
➂希釈剤
の3成分で構成されています。
これに、塗料の性能を向上させる目的で添加剤を加えます。
例えばカビの発生を抑えたい場合は防カビ剤を、
塗料に柔軟性を加えたいときは可塑剤と呼ぶ添加剤を加えます。
塗料は合成樹脂で区分されます
合成樹脂の種類は沢山あります。
戸建てやマンションなどの建築物の塗装に使用する塗料は、
・アクリル樹脂
・ウレタン樹脂
・シリコン樹脂
・フッ素樹脂
・無機
が一般的です。
合成樹脂の違いによる特徴、耐用年数と価格の関係
1.アクリル
もっとも一般的な塗料で、使用する原料の違いで幅広い性能の塗料が存在します。
ウレタン塗料やシリコン塗料が高価だった頃、
新築の戸建住宅などに最も多く用いられた塗料です。
艶があって発色が良く密着力も高いので、様々な用途、場所で使われます。
耐候性が低く、ひび割れが生じやすいので外壁の塗り替えには不向きな塗料です。
また、水性塗料(エマルションペイント)の作製が容易で、
種類が豊富なため内装で使用されることが多い塗料です。
2.ウレタン
一定の耐候性を備えた手頃な価格の塗料で、
シリコン塗料が開発されるまでは主流の塗料でした。
ウレタン塗料は上位グレードの塗料にはない2つの性質を持っています。
①弾性を有しています。
軽度のひび割れが起きそうになっても、
塗膜が柔らかく動いてくれるので、ひび割れを抑止することができます。
②柔らかい塗料です。
密着性が非常に高いため、細かい箇所や隙間の塗装作業性が良い塗料です。
外壁と屋根は耐候性の高い塗料を使い、
それ以外の付帯部等は、ウレタン塗料を使用することは良くあります。
3.シリコン
アクリルシリコン樹脂を用いた塗料が代表的です。
外壁の塗り替えで最も多く使われている塗料です。
シリコン塗料はウレタン塗料やアクリル塗料に比べ耐候性が高く、
紫外線や雨に晒されても色あせしにくいため、
長期間光沢を保ち続けることができます。
ウレタン塗料に比べて弾性が低いためにひび割れが生じやすいことと、
塗り重ねが難しいところが弱点です。
4.フッ素
フッ素樹脂は耐候性に大変優れた合成樹脂です。
4フッ化フッ素樹脂を用いたものが最も耐候性に優れます。
親水性機能を備えているため、
セルフクリーニング効果による低汚染性に優れています。
高価であること、塗り重ねが難しい塗料です。
5.無機
無機成分を主体とする合成樹脂を用いた塗料です。
フッ素樹脂塗料を上回る耐候性に加え、塗膜が燃えにくいという特徴があります。
可塑性に乏しく塗膜が固くなるため、
傷がつきやすくひび割れが起きやすいので、
木部や屋根の塗装には向かない塗料です。
6.ラジカル制御塗料
合成樹脂の違いによる分類ではなく、
塗膜の劣化を抑制する添加剤が混ざった塗料です。
塗膜は紫外線を受けると、
塗膜内部で塗膜を劣化させるラジカル分子というものが発生します。
このラジカルの発生を抑制する成分を添加することで、
塗膜の耐候性、耐久性を向上させた塗料をラジカル制御塗料と呼びます。
・日本ペイントはニッペパーフェクトトップ
・エスケー化研はプレミアムシリコン
・関西ペイントはアレスダイナミックTOP
が各メーカーが開発したラジカル制御塗料になります。
各社ともにシリコン塗料以上でフッ素塗料を少し下回る程度の耐候性を有し、
コストパフォーマンスの優れた塗料として推奨しています。
ラジカル制御塗料は淡い色の場合、
紫外線の影響を受けチョーキング現象が早まる傾向にあります。
濃い目の色を選ぶことをお薦めします。
水性塗料と弱溶剤塗料とは・・
水性塗料と弱溶剤塗料の違いは、希釈(塗料を薄める)に用いる液体の違いです。
水性塗料は水道水で希釈し、弱溶剤塗料は塗装用シンナーで希釈します。
弱溶剤塗料はシンナー臭がありますので、
市街地に建つ建物や大面積の外壁は、水性塗料を用いるのが一般的です。
かつて、水性塗料は弱溶剤塗料に比べて塗膜が脆弱になるため、
耐候性、耐久性に劣るとされてきました。
最近は遜色のない水性塗料も多く開発されています。