外壁塗装 エイチペイントの建物調査! 調査写真は必ず一級建築士が見ます
前回のブログを書き上げた翌日、ある現場の外壁サイイディングシーリング目地の現況写真がクラウド上に保管されました。シーリング目地の不良が非常に激しいのは新築時の施工が適切でなかったこと、そして修繕はどんな点に注意してシーリング打ち直しを行うかを、現場監督とシーリング職人で情報共有を行いました。
このようなサイディング目地の割れ・亀裂・剥がれが大きくなった原因は、新築時の施工の何に問題があったのか、少しご説明したいと思います。
外壁サイディングの張り方
現在、戸建て住宅の外壁は窯業系サイディングが主流となっています。窯業系サイディングの張り方は3種類あります。一つは釘を使って胴縁(外壁を固定するための部材)に留める方法、2つ目は胴縁に取り付けた金具に引っ掛けて留める金具施工、そして3つ目は通気を金具で確保する通気金具施工の3種類です。
2つ目と3つ目はいずれも外壁通気構法の分類になります。外壁通気構法は、外壁と内部壁との間の壁内に結露を生じさせない外壁の作り方として重要であり、建物を長持ちさせる外壁の張り方になります。
通気胴縁と金具施工
木造軸組み構造の場合の外壁通気構法は、透湿防水紙を張った後、柱や間柱位置に通気層を確保するための通気胴縁を設置します。その通気胴縁にサイディングを留め付ける金具を設置すると、胴縁と外壁材との間には5mmの隙間が生じます。ハットジョイナーの突起は10mmの物を使用するのが標準ですので、16mm厚の窯業サイディングを張った場合、シーリングの打ち込み厚さ(深さ)は11mmとなり、適切な厚さ(深さ)になります。

通気金具を使用する通気金具施工
2x4木造建物は外壁パネルに直接外壁を張り、また鉄骨造建物は鉄骨胴縁に直接外壁を張ることが一般的ですので、通気層を確保するために通気金具を使用します。通気金具を使用すると外壁パネルまたは鉄骨胴縁と外壁材との隙間は15mmとなりますので、ハットジョイナーは突起20mmのものを使用するのが一般的です。
突起20mmのハットジョイナーを使用しますと、16mm厚の窯業サイディングを張った場合、シーリング打ち込み厚さは11mmとなり適切な厚さ(深さ)になります。

この建物の不具合の根本原因は・・・使用したハットジョイナーの種類と外壁張りの方法が合っていないことです
今回の不具合の原因はシーリング厚さ(深さ)が薄いためです。そしてその根本原因は、外壁の張り方に合ったハットジョイナーを使用していなかったことです。
外壁写真に釘頭が写っていますので、サイディングは釘留めで張られています。突起高さ16mmのハットジョイナーを使用したとすると、16mm厚サイディングを張るとシーリング厚さ(深さ)は5mmとなり厚さ不十分になります。さらに通気金具施工で使用する場合に使用する突起高さ20mmのハットジョイナーを使用したとすると、シーリング厚さは1mmとなりますので、明らかに不適切な施工となります。
今回のような不具合を発生させないためには、突起5.5mm(前後)のハットジョイナーを使用することで、11.5mmの適切なシーリング深さを確保することができました。
このように不適切な材料を使用したり、知識不足の現場監督、職人による未熟な施工によって不具合が発生することは、同じ建設に携わるものとして残念でなりません。